2026年8月30日(日) 18時00分
「時間がない」
気づけば、そんな言葉を口にしていませんか?
朝起きた瞬間から、やることがある。
仕事をして、家事をして、連絡を返して、買い物をして。
1つ終わったと思ったら、また次の予定。
「もう少し時間があったら」
「もう少し効率よくできたら」
そんな私たちの暮らしを助けるように、世の中にはたくさんの「時短」が生まれました。
時短家電。
時短料理。
便利グッズ。
ネットショッピング。
スマートフォン1つでできる手続きや支払い。
仕事でも、以前なら時間がかかっていたことが、今ではほんの数分でできることもあります。
私たちの暮らしは、確かに便利になりました。
それなのに。
「セイコー時間白書2026」では、63.4%が「時間に追われている」と感じていることが分かっています。
時間を短くするためのものは、こんなにも増えた。
できることも、こんなにも増えた。
では、ここで1つだけ考えてみたいことがあります。
便利になった分、私たちの時間は本当に増えたのでしょうか?
30分かかっていた料理が、便利な調理家電で15分になった。
1時間かかっていた家事が、30分で終わるようになった。
買い物へ行かなくても、スマートフォンから注文できるようになった。
そうすると、本来ならそこに「時間」が生まれるはずです。
では、その時間。
何に使っていますか?
ゆっくりお茶を飲む。
家族と話す。
何もせず、ぼんやりする。
空を見る。
そんな時間になっているでしょうか。
それとも、
「時間ができたから、これもやっておこう」
と、もう1つ仕事をする。
もう1つ家事を終わらせる。
メールを返す。
SNSを見る。
次の予定を入れる。
時間をつくるために時短したはずなのに、空いた場所を、また何かで埋めている。
もしそうだとしたら。
私たちに足りないのは、本当に「時間」なのでしょうか?
電車を待つ数分。
待ち合わせまでの10分。
お湯が沸くまでの時間。
予定と予定の間にできた、ほんの少しの空き時間。
そんなとき、皆さんは何をしていますか?
なんとなくスマートフォンを開く。
SNSを見る。
ニュースを読む。
メッセージを返す。
気になっていたことを検索する。
今は、ほんの数分あれば、たくさんのことができます。
とても便利ですよね。
でもその一方で、私たちはいつの間にか、「何もしていない時間」を埋めることも、とても上手になったのかもしれません。
実は、「セイコー時間白書2026」には、とても興味深い結果があります。
56.1%が「何もしない時間を大切にしたい」と考えている一方で、33.2%は「やることがない時間ができると、つい不安になる」と回答しています。どちらも同調査の定点観測で過去最高となりました。
何もしない時間が欲しい。
でも、いざ時間が空くと、何かをしてしまう。
私たちは、そんな少し不思議な毎日を過ごしているのかもしれません。
もしかすると今の私たちに必要なのは、さらに時間をつくることではなく、
せっかく生まれた時間を、すぐに埋めないこと。
なのかもしれません。
「時間ができたら休もう」
「仕事が落ち着いたらゆっくりしよう」
「全部終わったら、自分の時間をつくろう」
そう思っていても、全部が終わる日はなかなか来ません。
仕事が終われば、家のことがある。
家のことが終われば、明日の準備がある。
1つ終われば、また次の「やること」が出てきます。
だから、
余白は「余った時間」ではなく、自分でつくるもの。
そう考えてみるのはどうでしょう。
30分でなくてもいい。
10分でなくてもいい。
ほんの1分間からでも、余白はつくることができます。
特別なことをする必要はありません。
朝でも、夜でも。
声に出してもいいし、出さなくてもいい。
ほんの1分間だけ、今、自分の目の前にあるものに目を向けてみる。
今日も目が覚めたこと。
温かいご飯を食べられたこと。
帰る場所があること。
今日話した人のこと。
仕事があること。
今日も身体が動いてくれたこと。
当たり前すぎて、普段は意識することのないものにも、
「ありがとう」
と、1つずつ心を向けてみる。
たくさん見つける必要はありません。
これからやらなければならないことでも、今日できなかったことでもなく、
今、自分の目の前にあるものを見る。
私たちは忙しくなるほど、「まだできていないこと」「これからやらなければならないこと」に意識が向きやすくなります。
でも、ほんの少し立ち止まってみると、
「もう、ここにあるもの」
にも気づくことがあります。
その1分は、何かを達成するための時間ではありません。
効率を上げるための時間でもありません。
ただ、今ここにあるものを感じる時間。
もしかすると余白とは、何もない時間をつくることだけではなく、
今ここにあるものに、気づける時間を持つこと。
なのかもしれません。
私たちは生まれてからずっと、毎日呼吸をしています。
忙しいときも、楽しいときも、眠っている間も。
あまりにも当たり前だからこそ、
「今日、自分がどんな呼吸をしていたか」
なんて、普段はほとんど考えません。
でも、仕事に追われているとき。
焦っているとき。
緊張しているとき。
ふと自分の呼吸に意識を向けることで、
「ずっと急いでいたな」
「身体に力が入っていたな」
と、自分の状態に気づくことがあります。
呼吸は、何か新しいものを「足す」のではなく、外側へ向き続けていた意識を、自分自身へ戻すきっかけにもなります。
弊社が大切にしている「健康習慣8バランス」の1つに、「呼吸法」があります。
特別な道具も場所も必要なく、今、この瞬間にもできること。
だからこそ、忙しい毎日の中で、自分へ戻る小さな入り口になるのではないでしょうか。
「瞑想」と聞くと、
静かな場所で長い時間座る。
頭の中を空っぽにする。
雑念をなくす。
そんなイメージを持つ方もいるかもしれません。
でも、必ずしも「何も考えないこと」を目指さなくてもいいのです。
仕事のことが浮かんだ。
夕食のことを考えた。
明日の予定を思い出した。
それに気づいて、また呼吸や「今」へ意識を戻していく。
私たちは毎日、仕事、家族、人間関係、SNS、ニュース、誰かから届くメッセージなど、たくさんのものへ意識を向けています。
だからこそ、ときには、
外側へ向き続けている意識を、自分自身へ戻す時間を持つ。
呼吸や瞑想は、そのための1つの方法でもあります。
ここまでお伝えしてきた、1分間の感謝や瞑想。
静かに立ち止まり、呼吸に意識を向けて、自分自身へ戻っていく。
これは、いわば「静の呼吸」です。
でも、呼吸は静かな時間だけにあるものではありません。
歩いているとき。
走っているとき。
身体を大きく動かしているとき。
夢中になって汗をかいているとき。
そこにも、呼吸があります。
身体を動かせば、呼吸も変わります。
息が弾む。
大きく吸う。
深く吐く。
そして身体を動かすことに集中しているうちに、仕事のことや明日の予定、さっきまで頭の中をいっぱいにしていたことから、ふっと離れている瞬間があります。
身体は動いているのに、頭の中には余白が生まれている。
これを、「動の呼吸」と考えてみるのはどうでしょう。
静かな呼吸で、自分へ戻る。
動きの中にある呼吸で、自分へ戻る。
方法は違っても、どちらも「今、この瞬間」に意識を向ける時間です。
余白は、静かに過ごすことだけではないのかもしれません。
朝、1分間だけ今あるものに感謝してみる。
夜、目を閉じて自分の呼吸に意識を向ける。
そんな「静の呼吸」が心地よい日もあります。
反対に、
身体を動かしたい。
汗をかきたい。
思いきり息を弾ませたい。
頭で考えることから少し離れて、目の前の動きに夢中になりたい。
そんな「動の呼吸」が心地よい日もあるでしょう。
大切なのは、
「呼吸法をやらなきゃ」
「余白をつくらなきゃ」
と、また1つ「やること」を増やすことではありません。
「今の私には、どんな時間が必要だろう?」
と、自分自身に目を向けてみること。
静かな日があってもいい。
思いきり動く日があってもいい。
呼吸は、そのどちらの時間にも、ずっと私たちと一緒にあります。
弊社では9月に、フィットネスイベント「UNPLUG」を開催します。
UNPLUGには、「プラグを抜く」「接続を外す」という意味があります。
日常の中で、私たちはいつも何かにつながっています。
仕事。
スマートフォン。
パソコン。
SNS。
そして、たくさんの情報。
そこからほんの少し離れて、
身体を動かす。
汗をかく。
息を弾ませる。
そして、目の前の時間に夢中になる。
UNPLUGもまた、「動の呼吸」を感じる時間の1つです。
いつも頭の中をいっぱいにしている「次のこと」から少し離れて、身体と呼吸を通して、今の自分へ戻ってみる。
今回の記事を読んで、
「最近、自分の呼吸を感じる時間がなかったかもしれない」
と思った方へ。
静かな1分から始めてもいい。
そして、ときには思いきり身体を動かしながら、自分の呼吸を感じてみてもいい。
そんな時間の1つとして、UNPLUGという時間もあります。
▶ UNPLUGについて詳しく見る
https://lp.wellness-gate.co.jp/UNPLUG_fitness20260921
便利なものを手放す必要はありません。
時短することが悪いわけでもありません。
私たちは、便利なものにたくさん助けられながら暮らしています。
だからこそ最後に、この記事の最初の問いへ戻ってみたいと思います。
便利になった分、私たちの時間は本当に増えたのでしょうか?
「セイコー時間白書2026」では、63.6%が「効率化したい時間」と「あえて効率を求めたくない時間」を使い分けていると回答しています。
もしかすると、これから大切になるのは、すべてを効率化することではなく、
「何を時短して、何に時間を使いたいのか」
を自分で選ぶことなのかもしれません。
もう1つ仕事をする日があってもいい。
家事を終わらせる日があってもいい。
好きなことに夢中になる日があってもいい。
そして、ときには。
今あるものに感謝する。
呼吸に意識を向ける。
静かに自分へ戻る。
身体を動かし、汗をかき、息を弾ませながら、目の前の瞬間に夢中になる。
そんな時間に使ってもいい。
私たちは、時間を短くする方法をたくさん手に入れました。
だからこれからは、
「どうすれば、もっと時間をつくれる?」だけではなく、
「生まれた時間を、どう過ごしたい?」
と、自分に聞いてみる。
余白とは、何もない時間ではなく、
自分にとって大切なものや、今の自分に必要なものに気づくための時間。
そして呼吸は、静かなときにも、身体を動かしているときにも、その「今」に戻るきっかけをくれるものなのかもしれません。
時短で生まれた1分を、次の何かのためだけではなく、自分のためにも。
今日のあなたには、どんな「呼吸」と「余白」が心地よさそうですか?
<参考文献>
セイコーグループ株式会社「セイコー時間白書2026」。2026年4月6日〜9日に全国の15〜69歳の男女1,200人を対象にインターネット調査を実施。時間に追われる感覚、タイパ、何もしない時間などについて調査しています。
セイコー時間白書2026を見る