2026年9月8日(火) 14時00分
9月になり、少しずつ「スポーツの秋」という言葉を耳にする季節になりました。
暑さがやわらいだら、少し歩こうかな。
そろそろ運動を始めたほうがいいかな。
そんなことを考えている方もいるかもしれません。
では、ひとつ質問です。
私たちは、何のために運動するのでしょうか?
痩せるため。
筋肉をつけるため。
体力を落とさないため。
健康で長生きするため。
もちろん、どれも大切な目的です。
でも、ある女性の生き方を知ると、「運動する」ということには、
身体を鍛えることだけではない、もっと大きな意味があるように思えてきます。
その女性が、「タキミカ」の愛称で知られるフィットネスインストラクター、
瀧島未香さんです。
瀧島さんは、若い頃から運動を続けてきたアスリートではありません。
1931年生まれ。65歳までは運動とは縁遠い生活を送っていたといいます。
子どもたちが独立し、家事の量が減ったことで、
テレビを見たり、お菓子を食べたりして過ごす時間が増え、
長年42kgほどだった体重は57kgに。
家族から体型の変化を指摘されたことをきっかけに、65歳でジムへ通い始めました。
そこから運動を続け、79歳でパーソナルトレーニングを始め、
そして87歳のとき、フィットネスインストラクターとしてデビューします。
2026年現在、瀧島さんは95歳。
でも、ここで注目したいのは、
「95歳なのにすごい」
ということだけではありません。
65歳という年齢を、彼女が「終わり」ではなく、新しい人生の始まりにしたことです。
「もう歳だから」
私たちは、何かを始めようとしたとき、ふとこんな言葉を使うことがあります。
運動だけではありません。
新しいことを学ぶとき。
行ったことのない場所へ行くとき。
仕事に挑戦するとき。
これまでとは違う自分になろうとするとき。
「今さら始めても……」
「この歳からでは遅いよね」
でも、本当にそうでしょうか。
もし瀧島さんが65歳のとき、
「もう65歳だから、今さら運動なんて」
と始めることを諦めていたら。
87歳でインストラクターになる未来は、なかったかもしれません。
もちろん、年齢とともに身体は変化します。
体調や身体の状態によってできることも違いますし、
誰もが瀧島さんと同じ運動をする必要もありません。
でも、
「できないこと」と、「まだやっていないこと」は同じではありません。
年齢そのものが私たちを止めているのか。
それとも、「もう〇歳だから」という自分自身の思い込みが、
最初の一歩を止めているのか。
一度、自分に問いかけてみてもいいのかもしれません。
瀧島さんの生活を見ていると、もうひとつ興味深いことがあります。
彼女が大切にしているのは、運動だけではありません。
本人へのインタビューでは、1日3食を基本とし、
旬の食材や発酵食品などを取り入れながら、
自分で食事をつくる生活について語っています。
つまり、
運動だけを切り取って頑張っているわけではないのです。
身体を動かす。
すると、その身体をつくる食事にも目が向く。
しっかり動くためには、身体を休める時間も必要になる。
身体が変われば、できることが増える。
できることが増えれば、新しい目標が生まれる。
そして、その目標がまた、毎日の過ごし方を変えていく。
健康習慣は、それぞれがバラバラに存在しているものではなく、
つながっているのかもしれません。
Wellness Gateでは、健康を「運動」だけで考えるのではなく、
食習慣、睡眠、メンタルバランス、人間関係、呼吸法などを含めた
「健康習慣8バランス」として捉えています。
ひとつの習慣を整えることが、ほかの習慣にもつながっていく。
運動は、身体を鍛えるためだけではなく、
自分の暮らしそのものを見直すきっかけにもなるのではないでしょうか。
ここで少しだけ、未来の自分を想像してみてください。
「80歳になっても健康でいたい」
そう願う方は多いと思います。
では、もう少し具体的にしてみたらどうでしょう。
80歳のあなたは、
朝起きてどこへ出かけていますか?
誰と会っていますか?
どんな服を着ていますか?
そして、どんな顔で笑っていますか?
ただ、
「80歳になっても健康でいたい」
と考えるのと、
「80歳になっても、自分の足で旅行へ行きたい」
「80歳になっても、大好きな仕事を続けていたい」
「80歳になった私が、誰かに元気を与える人でいたい」
と考えるのでは、今日の過ごし方が少し変わってくるのではないでしょうか。
未来が具体的になれば、
今日、身体を動かす理由が生まれる。
今日、何を食べるかが変わる。
今日、どう休むか、どう眠るかも変わる。
未来の自分を具体的に描くことが、今日の選択を変えていく。
運動をする本当の目的は、その先にあるのかもしれません。
瀧島さんの生き方で素敵だと感じるのは、健康になったことだけではありません。
65歳で、自分自身のために始めた運動。
そこから身体が変わり、79歳でパーソナルトレーニングを始め、
87歳でインストラクターになる。
そして今度は、自分が元気になるだけではなく、
誰かを元気にする側へと変わっていきました。
LIFULL STORIESのインタビューでは、
瀧島さんは「47都道府県を回って、全国の皆さんを元気にする」という夢も語っています。
また、自分の姿を見て勇気づけられたという声が多く届いているとも話しています。
自分のために始めたひとつの習慣が、自分の人生を変える。
そして、その人の生き方そのものが、今度は誰かの背中を押していく。
そう考えると、
運動とは、ただ筋肉や体力をつけるためだけのものなのでしょうか。
身体が動くことで、行ける場所が増える。
できることが増える。
人と出会う。
新しい目標が生まれる。
誰かに何かを届けられるかもしれない。
運動とは、
「これから、どんな人生を生きたいか」を叶えるための土台のひとつ
なのかもしれません。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」でも、
高齢者について、個人差を踏まえて強度や量を調整し、可能なものから取り組み、
今より少しでも多く身体を動かすことが推奨されています。
推奨量に満たない場合でも、少しでも身体活動を行うことが勧められています。
だから、いきなりジムへ行かなくてもいい。
誰かと同じ運動をする必要もありません。
少し遠くまで歩いてみる。
エレベーターではなく、階段を使ってみる。
朝起きたら、身体を伸ばしてみる。
今の自分にできるところから始める。
大切なのは、「何歳だから」ではなく、今の自分が、未来のために何を選ぶかなのではないでしょうか。
私たちは「健康」という言葉を聞くと、
病気にならないこと。
長生きすること。
自分の足で歩けること。
そんな状態を思い浮かべることがあります。
もちろん、それもとても大切です。
でも、ただ健康な80歳になることと、
80歳になっても、
「これをやってみたい」
「ここへ行きたい」
「こんな人になりたい」
と、未来を楽しみにしていること。
そこには、少し違いがあるように思います。
Wellness Gateが目指しているのは、ただ長く生きることではなく、「幸せな老衰」です。
だからこそ、運動も「健康のためにやらなければならないこと」と考えるのではなく、
自分が望む未来を生きるために、今日選べることのひとつ
と考えてみてもいいのかもしれません。
65歳から始めた運動が、その後の人生を大きく変えていった人がいます。
だから最後に、少しだけ想像してみてください。
80歳になったあなたは、
どこで、誰と、何をしていたいですか?
そして、その未来の自分のために。
今日のあなたは、何を始めますか?
<参考文献>
LIFULL STORIES|「高齢者がインストラクターになるのは無理、なんてない。」瀧島未香
65歳から運動を始めた経緯、79歳からのパーソナルトレーニング、87歳でのインストラクターデビュー、今後の夢などについての本人インタビュー。
LIFULL STORIESの記事を見る
MAQUIA ONLINE|瀧島未香さんインタビュー
運動を始めた経緯や食生活、日々の健康習慣、生き方について紹介されています。
運動を始めたきっかけについて 食事・生活習慣について
厚生労働省|「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
2026年9月現在も厚生労働省の「身体活動・運動の推進」ページに掲載されている現行ガイドで、高齢者版を含む推奨事項がまとめられています。
厚生労働省「身体活動・運動の推進」
※運動は、年齢・体力・持病などによって適切な内容や強度が異なります。体調に不安がある場合は、無理をせず必要に応じて医師などの専門家へ相談してください。