2026年10月13日(火) 08時00分
「カロリーが低い方にしておこう」
コンビニで飲み物を選ぶとき、普通のコーラではなく、ダイエットコークを手に取る。
ランチでは、食べたいものよりもカロリー表示を優先する。
夕食では「お昼に食べすぎたから」と、ご飯を抜いてみる。
そんな経験はありませんか?
もちろん、カロリーを意識すること自体は悪いことではありません。
体重管理や健康維持において、摂取するエネルギー量を知ることは大切です。
でも、いつの間にか「カロリーが低いもの=身体によいもの」になってはいないでしょうか。
実は、ここに見落としがちなことがあります。
カロリーを減らすことと、身体を健康にすることは、必ずしも同じではないのです。
ずっと目標にしていた体重。
食事を我慢して、間食も控えて、ようやく達成できた。
本当なら、もっと嬉しいはずなのに。
以前より疲れやすい。階段を上ると息が切れる。
なんとなく身体が冷える。肌や髪の調子も気になる。
「痩せたはずなのに、どうして?」
もし、そんな変化があるとしたら、身体の中で何が起きているのでしょうか。
私たちの身体は、食べ物から得たエネルギーと栄養素を使って、毎日働いています。
心臓を動かすことも、体温を保つことも、筋肉を維持することも、肌や髪をつくることも。
すべて、食事と無関係ではありません。
食べる量を極端に減らすと、体重が落ちる一方で、必要なエネルギーや栄養素まで不足してしまうことがあります。
その結果、筋肉量が減ったり、疲れやすくなったり、体調に変化が現れる場合があるのです。
女性では、長期間のエネルギー不足が月経や骨の健康に影響することも知られています。[3]
もちろん、疲れやすさや肌の変化にはさまざまな原因があります。
すべてが食事制限によるものとは限りません。
体調の変化が続く場合には、医療機関で原因を確認することも大切です。
けれど、ひとつ考えてみてほしいのです。
あなたが目指していたのは、体重計の数字を減らすことでしたか?
それとも、軽やかに動ける、健康的で美しい身体になることでしたか?
以前の「運動」のコラムでは、65歳から運動を始め、人生を大きく変えていった女性をご紹介しました。
年齢や体重といった数字だけでは測れない、身体の可能性。
食事も運動も、大切なのは「何を減らすか」だけではなく、
「これからどんな自分でいたいか」という視点なのかもしれません。
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「もう歳だから」が、あなたの未来を狭めていませんか?
ここで、最初のダイエットコークの話に戻ってみましょう。
カロリーゼロの飲料は、砂糖入りの飲料に比べて摂取エネルギーを抑えられることがあります。
そのため、飲み物を選ぶ際のひとつの選択肢になります。
ただし、「カロリーゼロ」と「身体によい」は、必ずしも同じではありません。
カロリーゼロの飲料には、砂糖の代わりに人工甘味料などが使われているものがあります。
2023年、世界保健機関(WHO)は、こうした甘味料について、体重管理や生活習慣病の予防を目的として、長期間使い続けることはおすすめしないという条件付きの指針を発表しました。[1]
つまり、砂糖の代わりにカロリーゼロの甘味料を選んだからといって、
それだけで健康的に痩せられるとは限らない、ということです。
もちろん、ダイエットコークなどの飲料が、
飲むだけで身体に悪いという意味ではありません。
砂糖入りの飲み物から置き換えれば、糖分やカロリーを減らせるメリットもあります。
ただし、「カロリーゼロだから健康によい」「いくら飲んでも大丈夫」と考えてしまうのは、少し違います。
大切なのは、カロリーの数字だけではなく、普段の食事や飲み物を含めた、
生活全体のバランスなのです。
ここで、少し想像してみてください。
目の前に、200kcalの甘い飲み物と、200kcalの卵や野菜を使った料理があったとします。
カロリーという数字だけを見れば、同じ200kcal。
でも、身体が受け取るものは同じでしょうか。
甘い飲み物は、主に糖質からエネルギーを得るものが多い一方、卵や野菜を使った料理には、たんぱく質、ビタミン、ミネラルなど、さまざまな栄養素が含まれています。
もちろん、飲み物にも料理にも、それぞれの役割があります。
ただ、カロリーが同じだからといって、栄養まで同じとは限らないのです。
そもそも、カロリーはエネルギーを表す単位。
身体によいか悪いかを判定する点数ではありません。
食事を選ぶときに大切なのは、カロリーだけでなく、
その食事から何を摂れるのかという視点です。[2]
「炭水化物は太るから、夜は食べない」
「脂質はカロリーが高いから、できるだけ避けたい」
「お肉は控えて、サラダだけにしよう」
こうした選び方をしたことがある方もいるかもしれません。
でも、炭水化物も脂質も、身体に必要な栄養素です。
炭水化物は、身体や脳を動かす重要なエネルギー源。
脂質は、細胞膜などを構成し、脂溶性ビタミンの吸収にも関わります。
そして、たんぱく質は、筋肉や臓器、皮膚などをつくる材料になります。
さらに、身体の働きを整えるビタミンやミネラル、腸内環境にも関わる食物繊維なども欠かせません。[2]
つまり、健康的な食事は、何かひとつを徹底的に減らせば完成するものではないのです。
大切なのは、必要な栄養を過不足なく摂ること。
ダイエット中であっても、健康維持が目的であっても、この基本は変わりません。
ここまで読むと、「栄養バランスが大切なのは分かったけれど、毎食考えるのは大変そう」と感じるかもしれません。
でも、難しく考えすぎる必要はありません。
まずは、いつもの食事を少し振り返ってみましょう。
例えば、お昼が菓子パンだけの日。
そこに、ゆで卵やヨーグルトなどを添えてみる。
サラダだけで済ませていたランチには、魚や肉、豆腐などのたんぱく質源と、
ご飯などの主食を組み合わせてみる。
夕食で炭水化物を避けていたなら、量を自分に合うよう調整しながら、
主食・主菜・副菜をそろえることを意識してみる。
そして、飲み物を選ぶときには、カロリーゼロという表示だけではなく、
普段の水分補給の中心が何になっているかを考えてみる。
どれも、特別な食材や高価なサプリメントを必要とするものではありません。
厚生労働省と農林水産省が示す「食事バランスガイド」でも、
主食・副菜・主菜などを組み合わせて食べることが基本とされています。[4]
最初から完璧な食事を目指すのではなく、
「今日は何を減らそう?」から「今日は何を組み合わせよう?」へ。
その小さな変化が、食事の選び方を変えていきます。
身体によいものを選びたいと思っても、毎日の食費や生活費を考えると、
なかなか難しいこともありますよね。
以前の「経済」のコラムでは、そんな健康とお金の関係について考えました。
健康への投資は、必ずしも高価な食材や特別なサービスを選ぶことではありません。
今の暮らしを大切にしながら、未来の身体も大切にする。
そんな視点も、ぜひあわせて読んでみてください。
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「身体にいいものを選びたい。でも、高くて続けられない。」
もうひとつ、忘れたくないことがあります。
それは、食事には栄養を摂ること以外にも、大切な役割があるということです。
好きな料理を美味しいと感じること。
家族や友人と食卓を囲むこと。
旅先で、その土地ならではの味を楽しむこと。
季節の食材を見つけて、食べてみたくなること。
食事は、私たちの毎日を豊かにしてくれる時間でもあります。
カロリーを気にするあまり、
食べることがいつも不安や罪悪感につながってしまうとしたら、
それは本当に望んでいた食生活でしょうか。
もちろん、健康状態や治療上の理由から、食事の管理が必要な方もいます。
だからこそ、自分の身体の状態に合った食べ方を知ることが大切です。
誰かのダイエット方法をそのまま真似するのではなく、
自分が元気に過ごせる食習慣を見つけていきたいですね。
ここまで、食習慣について考えてきました。
でも、健康は食事だけで決まるものではありません。
食事に気をつけていても、睡眠が十分に取れていなかったり、
忙しさから身体を動かす時間が少なくなっていたり。
反対に、すでに自分の生活の中で大切にできている習慣もあるかもしれません。
大切なのは、できていないことを探すのではなく、まず「今の自分を知ること」。
Wellness Gateでは、健康習慣8バランスをもとに、
ご自身の生活習慣を振り返る「ウェルネスバランスチェック」をご用意しています。
食習慣だけでなく、睡眠や運動、メンタルバランスなど、
今の自分がどのような状態にあるのか。
これから何を大切にしていきたいのか。
そのきっかけとして、ぜひ活用してみてください。
▶ ウェルネスバランスチェックはこちら
Wellness Balance Check(ウェルネスバランスチェック)
Wellness Gateが大切にしている「健康習慣8バランス」。
そのひとつである食習慣は、運動や睡眠、メンタルバランスなどとも深く関わっています。
食事から得たエネルギーは、今日の活動を支え、栄養素は身体を維持するために使われます。
そして、その積み重ねが、これからの毎日をつくっていきます。
以前のコラムでは、「あなたは80歳のとき、どんな自分でいたいですか?」
という問いをお届けしました。
今回も、その未来を少し想像してみてください。
好きな場所へ旅行に行く。
自分の足で歩く。
大切な人と食事を楽しむ。
新しいことに挑戦する。
その未来に必要なのは、体重計に表示される理想の数字だけでしょうか。
もちろん、適切な体重管理は健康を守るために大切です。
でも、その数字を目指す過程で、身体に必要な栄養や、食べる喜びまで失う必要はありません。
カロリーは、健康を考えるためのひとつの目安。
けれど、あなたの身体の価値も、これからの人生の豊かさも、その数字だけでは測れません。
次に食事を選ぶとき、少しだけ問いかけてみませんか。
「これは何kcal?」だけでなく、
「この食事は、私の身体に何を届けてくれるだろう?」
今日の食事が、明日の元気に、そして10年後、20年後の自分につながっていきます。
<参考文献・出典>
[1]世界保健機関(WHO)(2023)
「Use of non-sugar sweeteners: WHO guideline」
[2]厚生労働省(2024)
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書
[3]Mountjoy M, et al.(2023)(英語論文)
2023 International Olympic Committee's (IOC) consensus statement on Relative Energy Deficiency in Sport (REDs) - PubMed
[4]農林水産省・厚生労働省
「食事バランスガイド」について:農林水産省
※[3]は主にスポーツに伴う相対的エネルギー不足を扱った資料です。一般的なダイエットによるすべての体調変化を説明するものではありません。